寝つきの悩みを機能性表示食品で解決できるのか

現代社会では睡眠に関する悩みを持っている人が増えていることが問題とされています。

寝つきの悩みを抱えている人は病院に通って治療を受けていることもありますが、もっと身近なもので解決できないものかと考えることもあるでしょう。

機能性表示食品はその糸口になる可能性があるので、寝つきの悩みを解決できるのかどうかを考えてみましょう。


寝つきの悩みとは

現代社会における睡眠の悩みは不眠症や睡眠障害と医学的には呼ばれているものです。大きく分けると睡眠障害には入眠困難、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害があります。国際的な分類としては不眠症、睡眠関連呼吸障害群、中枢性過眠症群、凱日リズム睡眠障害群などといった分類方法もありますが、寝つきという観点からわかりやすいのは前者の分類方法でしょう。

寝つきの悩みは主に入眠困難に該当します。眠りたいのになかなか眠れなくて困ってしまうのが寝つきの悩みです。結果として睡眠時間が短くなったり、眠れないストレスを抱えたり、体力が十分に回復しなかったりして日常生活に支障をきたしているケースも少なくありません。

そのため、病院でも寝つきの悩みを持っている患者に対して治療を行っています。入眠を助ける医薬品は昔から睡眠薬と呼ばれていて、多数の種類が開発されてきています。

ただ、自然な睡眠をもたらすわけではないことが近年になって指摘されるようになりました。入眠困難を対症療法として治療するのには適していますが、根本的な解決にはならないことも問題視されています。結果として治療の際には睡眠薬が補助的に使われ、根本治療に向けて生活の改善のための指導をするというのが一般的になっています。

このような状況下でしばしば注目されるようになったのが機能性表示食品です。

寝つきに関わる機能性表示食品

人の体は食べたものによって作られているのは確かで、睡眠に関わる神経系も栄養を代謝して作られています。神経活動に用いられている神経伝達物質などの正体内物質も食べたものから産生しているため、食生活の見直しが寝つきの悩みの改善にも良いのではないかと考えられるでしょう。

ただ、普段の食生活を見直そうと思ったときに、どのような食品を食べたら良いかがわからないという悩みが生じることはよくあります。その指針の一つとして寝つきの悩みに関わる機能性表示食品を選ぶと良いのではないかという考え方が広まってきました。

機能性表示食品は摂取することにより何らかの作用があることが科学的根拠によって示されているのが特徴です。機能性表示食品は医薬品のように有効性や安全性に関する大規模な臨床試験を実施して、厚生労働省が認可しているわけではありません。

しかし、食品を開発した企業などが試験を実施し、人にとって特定の良い作用を示す根拠が示されているので信用できるでしょう。このような形で消費者庁に届出が受理された機能性表示食品で寝つきの悩みに対処すれば解決できる可能性があると考えられます。

その機能性成分として認められている代表的なものがギャバとサフランです。

ギャバの特徴と魅力

ギャバはGABAと表記されることも多いアミノ酸の一種です。ガンマアミノ酪酸と呼ばれている神経伝達物質の一つで、神経活動を穏やかにする方向で働きかけることが知られています。体内ではグルタミン酸などから合成されていますが、人はギャバを消化管から吸収できるので摂取すれば体内のギャバの量を増やせます。

睡眠は神経活動が抑制されて穏やかになっている状況なので、ギャバの不足が睡眠の悩みを引き起こす可能性があると考えられるでしょう。このようなロジックでギャバが候補として考えられ、睡眠との関連性の研究が古くから行われてきました。

その結果として科学的根拠が得られ、機能性表示食品の成分として認められるようになっています。主にサプリメントとして製品開発が行われ、「睡眠の質の向上をサポート」などといった表示ができる製品が流通しています。

サフランの特徴と魅力

サフランはスパイスとしてカレーなどにもよく用いられているもので、サフラン由来の油も料理に使用されることがあります。スパイスには薬膳になるから体に良いということがよく言われていますが、その成分を分析して科学的根拠をもって人に良い作用を示すことを証明した研究成果が登場しました。

その結果を踏まえて製品開発が進められてサフラン由来のクロシンやサフラナールを含むサプリメントが開発されています。ギャバに比べると研究の歴史は浅いですが、機能性表示食品制度ができてから本格的な研究が進められたこともあって科学的根拠もしっかりしているのが魅力です。

結果として機能性表示食品として届出が出されている製品も増えてきている状況があります。サフランを使っている機能性表示食品では「一時的な不安感、気分の落ち込み、困惑感を軽減」「活動時の眠気を軽減させ物事をやり遂げるのに必要な意欲を維持させる」などといった内容を含む表示ができるようになっています。

「睡眠の質が低いと感じている方」のための製品として販売されているため、寝つきの悩みにも対処できると考えられるでしょう。

医薬品ではないので注意

寝つきや睡眠の悩みを抱えている人をターゲットとした機能性表示食品を食生活に取り入れればよく眠れて元気になれそうだと思ったかもしれません。しかし、機能性表示食品はあくまで食品であって医薬品ではないので注意しましょう。

機能性表示食品の表示にもはっきりと書かれていますが、医師に相談したり、健康を考えた栄養バランスの良い食事をしたりするのがまず大切です。それでもやはり改善しないときのサポートとして使うのが機能性表示食品の原則です。

医薬品のように強い効果を持っていると示されているわけではないので、機能性表示食品を食べているけれど睡眠の質が良くならないと悩んでしまわないようにしましょう。補助的に使用してより元気な状態を目指すためのものと考えるのが大切です。

機能性表示食品で寝つきの悩みの改善を補助しよう

寝つきの悩みの対処は基本的には生活習慣の改善によって目指す必要があります。機能性表示食品には魅力的な成分としてギャバやサフランを含む製品がありますが、医薬品のように強い効果があるわけではありません。医師と相談しながらどのようにして改善をすると良いかを考え、補助的に機能性表示食品を利用していきましょう。